2017年3月3日金曜日

【研究室紹介】災害科学国際研究所 ~自然を見つめ噴火を予知~

 2014年の御嶽山噴火、口永良島の噴火などの影響で国内の火山に対する関心が高まっている。今回は、東北の活火山の観測及び研究をしている災害科学国際研究所の三浦哲教授に話を伺った。




―どのような研究をしているのですか

 火山活動が原因で起こる地震や地殻変動、火山内部の密度変化によって生じる重力変化等を観測し、地下のマグマの動きなどの推定をしています。また、そのデータを収集し、解析することによって噴火の予測につなげようと考え、研究を続けています。最近では、12年から蔵王山周辺において、マグマの移動などによって発生するとされている深部低周波地震が増加しはじめました。また、13年以降には、浅部においても火山性地震や微動が観測されたため、観測をより一層強化し研究を行っています。

―研究室の様子を教えてください

 研究と聞くと、実験室にこもって計算や実験を行うことをイメージする方が多いかもしれません。しかし、私たちの研究対象は自然であるため、火山の周辺で独自のデータを取るなど、フィールドワークをすることが多いです。噴火やガスなどが噴出する噴気現象などの自然現象を間近で見ることは、とても良い経験になると思います。私自身も、1970年の秋田駒ヶ岳の噴火を実際に目撃し、興味を持ったことでこの分野の研究をしたいと思うようになりました。

―噴火予知に対する社会からの期待にどう応えていこうと考えていますか

 確かに、御嶽山が噴火したことで噴火予知に対する社会からの要請は強まっています。今年度は文部科学省の補正予算により蔵王山周辺に新たな観測所を設置しました。既存のものを含め、合計12の観測所を用いて、蔵王山の観測を強化しています。

 噴火予測に対して懐疑的な見方があることも承知しています。確噴火予測が非常に難しいことは確かです。しかし、2000年の有珠山噴火では、北海道大学の観測所が噴火の予測をし、住民の避難に役立てられました。過去の噴火時のデータに基づき、噴火の前兆を捉えることに成功し、的確な予測を出すことができたのです。このように、それぞれの火山における噴火のデータを集めることができれば、噴火の予測につなげられる可能性はあると考えています。

―噴火予知の研究者の確保はどのように行っていく予定ですか

 文部科学省では、火山研究者が不足しているため、研究者や防災に関わる人材を育てるための新たなプロジェクトを今年度から始めました。例えば、オンライン授業によって、全国の大学の授業が受けられる環境作りや大学院生に対する経済的サポートなどの活動が挙げられます。東北大学が中心となって、全国規模で育成を進めていく予定です。

―受験生に一言お願いします

 大学では、自分が知りたいと思うことについて深く学ぶことができます。そして、その学んだことは、教育、研究によって自分のものとなって行きます。その情熱を忘れずに大学生活を送ってほしいです。

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