2017年2月26日日曜日

【受験生応援企画】命がけの滝行 ~死ぬ気で合格祈願~

 2月某日。今年も報道部恒例、受験生の苦しみを受け止める滝行の時期がやってきた。今年は筆者が志願して滝行に臨んだのだが、わざわざ志願したのも理由がある。




 「……ない。番号がない!」そう心の中で叫んだのは、今年のセンター試験前日の筆者だ。普通車の運転免許を取得するために挑んだ学科試験で、筆者は不合格となってしまったのだ。多くの受験生が時に頭をよぎってしまうであろう不合格という悪い結末を、受験生の身代わりとなり被った形だ。こうなったら、自分が受験生の苦しみを全て背負っていこうじゃないか。そう思った時には、滝行をやりたいと名乗り出ていた。

 そんなわけで筆者は、昨年滝行を経験した編集長Kと先輩Fとともに、宮城県の南端にある丸森町へ向かった。先輩から「滝行は命がけだ」と恐ろしさを幾度となく説かれるも、当の本人はてんで実感は湧かない。だがこの後に先輩からの忠告を身をもって実感することとなる。

 阿武隈急行線の丸森駅で下車してからはタクシーで移動。一行はとあるキャンプ場に降り立った。「ここから1時間近く山の中を歩くよ」と先輩から無慈悲な通告。どんなところまで連れていかれるのだろうと一抹の不安を感じながら、先輩の後をついていった。

 雄大な景観を背に獣道を歩く時間が続く。途中からは残雪に足元を取られて行く手を阻まれる。「こんな環境の中でも無事に滝行を行い、受験生を励ませますように」と道中の不動尊で祈りを捧げつつ、目的地へと歩みを進めた。

 こうしてどうにか目的地の滝に着いた。白装束を身にまとい、滝行開始。滝つぼに入るや否や、足元から強烈な冷たさが襲った。思わず途中にある岩に逃げ込んだものの、寒さで震えが止まらない。しかしここで立ち止まっていては、誰が受験生の艱難辛苦を解消できようか。意を決して滝の流れの中に体を預けた。「多くの受験生が合格できますように」と何度も震える口でつぶやきながら。

 この寒さで狂ってしまったのか、突如白装束を脱ぎ出した筆者。実はこの時の筆者は熱い心に満ちていた。もっと過酷な状況にある受験生にも寄り添えるようにと思っての行動だった。白装束を脱ぐと、冷たさをまさに肌で感じる。先ほどよりもつらさを感じるが、それをかき消すように合格を祈願し続けた。こうして、命を失うことなく滝に打たれた筆者。帰り道の不動尊で無事に終わったことを感謝して手を合わせたのだった。

 ただ、まさに滝行を終えたばかりの体は足先の感覚もなく、疲労もたまっていた。そこで筆者が取り出したのは、試験時に不動産会社の人などが受験生によく配っているチョコレート。今年のセンター試験の日に、受験生のふりをしてもらっていたものだった。口に含むと、心なしか1年前の受験を思い出した。「あの時はチョコを食べながら、不安な気持ちを紛らわせていたな」不安感から来る寒々しさではなく、体感的な寒さを感じつつ、受験を懐かしんだのだった。

 さて、受験に挑む(挑んだ)諸君はどんな気持ちだろうか。合格して大学生として一歩を踏み出せるか、不安でおびえる心境かもしれない。でも、大丈夫。この滝行を見てもらえればきっとわかるだろう。つらくて震えるような経験を乗り越えるのは熱い心であり、乗り越えた先には甘く幸せなことが待っている。熱い心が幸せな未来を切り開くと信じて、これまでの人生で最大の滝行に挑んできてください。

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